本ウェブサイトの管理者(加納学@京都大学)が作成した解説資料・テキストです.
2006年度から3年間の予定で,プロセス制御専門家養成塾(プロセス塾)を計測自動制御学会(SICE)が主催しています.このプロセス制御専門家養成塾において,「プロセスデータからのモデリング」に関する講師を担当しています.2007年度の講義で使用したスライドを公開します.
化学プロセス制御の基礎を理解するための,お薦めできる初心者向けテキストを紹介します.
プロセス制御工学 著者: 橋本伊織,長谷部伸治,加納学 プロセス制御に初めて接する大学生やエンジニアが,第一線で活躍するために必要な基礎知識を独学で身に付けられることを目指したテキストです.モデル予測制御や閉ループ同定(フィードバック制御下でのシステム同定)について解説されているのが特徴です. |
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プロセス制御システム 著者: 大嶋正裕 物理モデルの構築方法について詳しく書かれている一方,周波数応答に関する解説は一切省かれています.時間領域の制御系設計だけで十分な方にお勧めします. |
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プロセス制御の基礎と実践 著者: 中西英二,花熊克友 |
PID制御を理解したい方向けの,お薦めできるテキストを紹介します.
PID制御の基礎と応用 著者: 山本重彦,加藤尚武 初心者向けで,大変わかりやすく説明されています.好評につき,2005年に第2版が出ました. |
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PID制御 著者: システム制御情報学会 制御工学に関する基礎知識を身に付けていることが前提になっています.本格的に勉強したい方向け. |
化学プロセス制御の基礎を理解した上で,さらに進んで,実際のプロセス制御について知りたいという実務者向けテキストを紹介します.初心者向けテキストの後に読むのが効果的です.
化学産業における制御 著者: 伊藤利昭 アンモニアプラントのモデル予測制御,エチレンプラントの最適化制御,コークスプラントの最適予見制御,バッチプロセスのスケジューリング制御,ポリマープラントの品質制御について実施例を紹介しています. |
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プロセス制御 著者: 高津春雄(編著) 計測機器や自動調節弁について解説している他,制御システムのヒューマンインタフェース,生産管理,石油精製プロセスと鉄鋼プロセスの制御の実際が記載されています. |
ようやく,モデル予測制御の和書が出版されました.訳本ですが.
モデル予測制御―PFC(Predictive Functional Control)の原理と応用 著者: ジャック・リシャレ, 江口元 Dr. Jacques Richaletが普及させたPFCの特徴は,産業界で最も一般的に採用されているPID制御では解決できない制御問題を解決し,利益をあげるという目標に集中していることである.このため,適用対象を限定することで,アルゴリズムが複雑になることを避け,計算負荷を低減し,実装が容易で,現場に受け入れられやすいパッケージに仕上げている.どんどん一般化され,複雑化,肥大化していく多くの制御アルゴリズムとは異なり,狙った獲物を確実に仕留めるタイプだと言える. PFCの適用に際しては,第一原理モデル(物理モデル)の利用が推奨されている.利用されるモデルは必ずしも詳細で厳密なものではなく,制御目的を達成するために必要十分な程度のモデル化がなされ,かつ,モデルの特徴を制御アルゴリズムに反映させる点が特徴的である.また,制御パラメータの物理的意味を明確にし,かつ制御パラメータの効果を独立させているため,調整が容易であるとされる. 現場で成果をあげたい制御エンジニアには参考となる書籍であると思う. |
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モデル予測制御―制約のもとでの最適制御 著者: Jan M.Maciejowski モデル予測制御の日本語解説書です. |
制御系設計に必要なプロセスモデルを構築するための方法を解説しているテキストを紹介します.モデルには物理モデルと統計モデルがありますが,ここで紹介するのはシステム同定と呼ばれる,統計モデルを構築する方法に関する書籍です.
信号解析とシステム同定 著者: 中溝高好 基本的な事項から丁寧に解説されており,初学者にお勧めできます.前半はAR(自己回帰)モデルやARMA(自己回帰移動平均)モデルなどの時系列モデルの同定についての解説で,後半がシステム同定の解説です. |
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システム同定入門 著者: 片山徹 システム制御情報学会が編集しているシステム制御情報ライブラリーシリーズの1冊です.このシリーズは総じて全くの初心者が読めるテキストではないと思いますが,システム同定についてきちんと勉強したい方にはお勧めできる一冊です. |
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システム同定―部分空間法からのアプローチ 著者: 片山徹 最近流行の部分空間同定の解説書です.英語版もあります. |
化学プロセス制御に関する様々な知識を身に付けるための,お薦めできるテキストを紹介します.和書と比較すると高価ですが,内容が非常に充実しているので,初心者だけでなく,一線で活躍するプロセス制御エンジニアにも大いに役立ちます.
Process Dynamics and Control 著者: D.E. Seborg,D.A. Mellichamp,T.F. Edgar プロセス制御のテキストとして,大変有名です.改訂版では,Real-Time Optimization,Model Predictive Control,Plantwide Controlなども含まれています. |
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Process Control: Designing Processes and Control Systems for Dynamic Perfomance 著者: Thomas E. Marlin 1000頁を超える大部のテキストで,内容は大変充実しています.MITの"Process Dynamics, Operations, and Control"コースのテキストにも採用されています. プロセス制御のさわりだけを勉強するなら日本語の教科書で十分ですが,実践で本当に役立つだけの実力を身に付けたいのであれば,このクラスのテキストを読破する必要があると思います. |